レアルマドリード情報

世界一偉大なクラブ、レアルマドリードについて書いています

ガラクティコスからチームワークへ

現有戦力の維持と継続

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今夏はワールドカップが開催された影響で、移籍市場は停滞していた。ようやくワールドカップが終わってから動き出した感がある。

7月27日現在、マドリーの移籍市場での動きは穏やかだ。放出されたのは、ハキミとロナウド。新加入は、ルニンとオドリオソラ、ビニシウスとなっている。

ロナウドの後釜としてアザールの移籍交渉がチェルシーと行われているが、チェルシーは2億€の移籍金を求めているのに対し、マドリーは1億3000万€以上の提示はなされておらず、交渉は進んでいない。

マドリーは2億€もの移籍金を払うことはまずない。ペレスは新加入選手たちのプレゼンテーションで、移籍市場の変化と過去数年の成功した路線を継続することをマドリディスタに明らかにしている。

もちろんペレスは必要とあらば多額の移籍金を支払ってでも獲得するだろうが、クラブの財政と経済的安定を揺るがすような出費をすることはない。

ジダンが監督の最終年の市場ではベイルを放出してムバッペを獲得するべく、1億8000万€をモナコに提示したそうだが、選手本人はPSGを選択したため実現しなかった。

ペレスとしては、アザールに2億€もの価値はないと判断しているのだろう。確かに、ロナウドを1億€で放出して、彼のような能力がない選手に倍の移籍金を支払うのは間違った判断だ。

ロナウドの代わりはいないが、近い存在はキリアン・ムバッペしかいない。ムバッペがマドリーへ移籍する意思があればためらわず2億€以上をパリへ払うだろう。

「成功したチームは変えない」のが組織運営の鉄則だ。チームの骨格を変えずに少しずつ世代交代を行い、若手有望株を青田買いして、育てる方針はタイトル獲得の有無に関わらず続くと思われる。

チームになれば勝利でき財政も拡大する

第一次ペレス時代は、毎年大物選手を獲得してチームに刺激を入れ、世界的な名声と財政の拡大を行ってきた。ベッカム獲得するまではタイトルと財政の双方を成功できたが、過度なスタープレーヤーへの依存はチームバランスを崩し、タイトル獲得ができなくなった。

09年に会長職に復帰したペレスは、初年度のロナウド、カカ、ベンゼマといきなり3選手もの大物選手を獲得した。ペジェグリーニ、モウリーニョと4年間でリーガとコパのタイトルしか獲得できず、再び第一次政権のときと同じ過ちを繰り返すかに思われた。

しかし、アンチェロッティが就任した1年目でコパと悲願のLa Decimaのダブルタイトルを獲得したことで少しずつ戦略は変わっていった。

2年目はチームのバランサーであったアロンソとディマリアを放出して、クロースとハメス・ロドリゲスの攻撃的選手を獲得した。クラブワールドカップまでは連勝を重ねうまくいっていたが、後半失速してタイトル獲得はできずに終わった。

ここでマドリーの首脳陣は気づいたのだろう。タイトルを獲得するためにはスター選手だけではダメだと。

アンチェロッティは解任され、ベニテスがやってきた。ここで、大物選手は獲得せず、ルーカス・バスケッツ、コバチッチ、ポルトで活躍したカセミロといった走れて守れチームに貢献できる選手たちを獲得した。

ベニテスはチームをまとめることができず半年で去ることになったが、大物を獲得せずチームに貢献できるタイプの選手を獲得したことは移籍市場での方針変更となるターニングポイントであった。

そしてジダンが就任してCL3連覇を達成した。ジダンはチームをいじることはせず、アンチェロッティとベニテスが残した遺産で勝ちまくりタイトルを獲得した。

タイトルを獲得したことが全てではないが、総予算は6億€まで拡大し、規模は年々拡大している。

20年前と違いマーケティングのためだけにチーム運営を行うことはマイナスでしかない。いつでもどこでも安く世界各国のサッカーが観れる時代に、スター選手が並んでも負けるようではファンは離れていく。

ガラクティコスの時代は終わった。

ビニシウスやルニン、カンテラーノたちを育てチームとしてタイトルを獲得する戦略はマドリーを成功に導くかはこれからわかる。アセンシオがビックネームへ進化している最中なのでまずは彼が試金石となるだろう。

今季のマドリーはより組織的なチームになる。

Real Madrid CF Santiago Bernabéu Stadium, Madrid HDR